DiaryINDEX|
past|
will
| 2004年04月10日(土) |
高級レストランより居酒屋 |
根詰めて勉強しているマーティンを「夜景の綺麗なレストランでちょっとコーヒーでも飲まない?」と誘ってみた。明らかに疲れきった顔で"Ok"というので坂道を下ってスワンリバー沿いのレストランへ。が、イースターのため考えていたレストランは閉まっていた。(※イースターというのは本当はクリスチャンは酒を飲んではいけないらしい。が、昨日もママから「酒など飲まぬように」というメールを受け取った時点で彼は既に1ボトルは飲んでいた。)仕方ないのですぐ隣の高級な雰囲気のレストランに入った。
ピアノの生演奏の隣で女性が歌っている。客はそこそこの身なりをしている。目の前のテーブルでは若いアジア人のカップルがドレスアップして綺麗な色のカクテルを飲んでほんの数回目のデートを楽しんでいる様子。バブル世紀の日本を思い出させるような雰囲気。黒いスーツを着て高級車で迎えに来る男と前髪を逆立てて妙に高いハイヒールを履いた女とバカ高い西洋料理のようなものを空想していると、ウエイトレスがオーダーを取りに来てこの空想はあっさり壊された。てっきりコーヒーだけだと思っていたのになんと彼は「アサヒビールと刺身と生牡蠣」とオーダーしたのだった。どこの居酒屋なんだ、ここは。そして運ばれてきたものはこの綺麗な夜景を見ながら食べるには辛い代物だった。"SASHIMI"は切り口がずたずたなサーモンのみ。チューブから出したワサビと彼が嫌う「安い割り箸」がきた。ちゃんとしたSASHIMIと美味しいワサビと良質な割り箸を知っている彼の表情は一気に沈んでいった。そして次に出てきた生牡蠣を2つ食べた彼の顔は更に疲れ果てて「美味しくない。もう食べられない」と言う。わたしが食べてみるとあぁ。。。生牡蠣なのに新鮮じゃない。取繕うように残りはわたしがおなかに押し込んだ。結局美味しいのはアサヒビールだけだったようだ。
家を出たときより彼の顔は疲れ果てていた。ニール・ヤングのようなワイルドな男に憧れる彼に「ここはニール・ヤングが来る場所じゃなかったね」と言ってみたけど笑ってもくれなかった。
が、帰りの車の中で黙りこくっていた彼が突然思い出したように「あのレストランはニール・ヤングの行くところじゃないよ!」と言い出した。ニール・ヤングには錆びれた居酒屋のほうがいいようだ。