DiaryINDEX|
past|
will
シンガポールに住んだ経験を持つ友達が貸してくれた村上龍の「ラッフルズホテル」を読んだ。10代の頃に1度読んだことがあるものの、当然だけれどその頃よりも自分の見聞が広まったことでより深く理解できて楽しめた。
ストーリーはベトナム戦争を撮った経験を持ちながら、グラビアを撮影するカメラマンへと転身した狩谷という妻子持ちの中年カメラマンの前に萌子という奇妙な女優が突然現れることで展開していく。ニューヨークで知り合ったこの二人。やがて舞台は狩谷がこの女優から逃げるために選んだシンガポールへと移って行く。熱帯の湿度と生ぬるい空気の中に狩谷を探しに現れた萌子は背筋が凍ってしまうような恐ろしく純粋な女だった。
しかし、気になる一文。
「日本人の商社員がカラオケキャバレーのマレー人ホステスに「結婚するからさ」と口説き、成功したが、熱心な回教徒であった彼女は結婚が嘘だと知って自殺した、そういうのはシンガポールではよくある話だ」
というところ。この本の初版がでたのは1992年だけれど、こういった類の話はこの本の持ち主がつい最近シンガポールで実際働いて見てきてわたしに話してくれたものとほぼ同じ。日本の社会はこの間に大きく変わっていても、海外にいる駐在員とその国の人達の関係性はなんら変わっていないのだろうか。