My life as a cat
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2004年06月06日(日) サヨナラ、イツカ

わたしを決心させたのは「行っても後悔するかもしれないけれど、行かなくても後悔するんでしょ?」という友達の言葉だった。だったら行った方がいい。金曜の夕方意を決して電車に乗りその街に降り立った。スーツを来た会社員達がほっとした顔でビルからでてきては居酒屋に向かっていく。わたしだっていつも金曜の夜はいい気分で飲んでいるのに今日は何をしているんだろう。一人でこれから起こる想像もつかないことに飛び込んでいくのはとても恐かった。書店で真っ赤な表紙が目に付いて手にとった辻仁成の「サヨナラ、イツカ」という小説を読みながら待った。順調な道を歩いてきて結婚を控えた男のところにある日突然突拍子もない女が飛び込んでくることによってその男は一生その女に執着して生きることになる。飛び込んだ女も同じだった。なんて偶然なんだろう。この突拍子もない女と今の自分の姿があまりにもぴったりと重なってしまう。

結果、どしゃ降り雨の日曜の午後、一人電車の中で泣くことになった。泣き止んでふと我にかえり周りを見回すとみんな見て見ぬフリをしていた。喉が渇いたので駅で買った缶コーヒーを飲んだ。でも行ってよかった。結果的に泣くことになろうとも少なくとも後悔は無かった。乗り換えの駅で電車を降りて公衆電話からとても心配してくれた女友達に電話をした。わたしには良い友達がいてよかったと彼女の声を聞いたら今度は嬉し泣きしてしまった。


Michelina |MAIL