毎日、どこの家庭でも決まって出てくるのがゴミです。日常生活を過ごしているとどうしてもゴミが出てくるのは当たり前のことです。これらゴミですが、日本においては一部電化製品を除いてほぼ市町村がゴミ処理を行っています。皆さんもよくご存知のことと思いますが、皆さんが住んでいる家の近くには必ずゴミ収集場所があります。ゴミはその種類によって収集日が異なっています。分別収集ですね。これらゴミ収集場所には定期的に市町村の清掃車が回収に来て、ゴミ処理場へ持っていくのが普通です。
さて、歯科医院を含めた医療機関で出されたゴミはどう処理されるのでしょう?実は、医療機関でのゴミは、原則として一般家庭から出されたゴミと一緒に処理をすることができません。すなわち、市町村のゴミ収集車で回収することができないゴミなのです。
医療機関では、一般家庭とは異なり様々な種類のゴミが出ます。患者さんに使用したガーゼや脱脂綿、使い捨てグローブ、敷布、注射針、薬物ビン、薬品袋、石膏類、レントゲン現像液、定着液などなど。中でも問題なのは患者さんの血液などが付着したゴミです。これらは感染性廃棄物として医療機関が責任をもって処理をすることが法律で義務付けられています。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)という法律です。ただし、医療機関が独自でゴミ処理を行うことは現実的に困難です。そこで、医療機関では廃棄物を専門の処理をする業者に委託し、ゴミ処理を行っているのが現状です。 うちの歯科医院でも某業者に委託し、定期的に歯科医院から出されるゴミを回収してもらっています。
医療機関から出されるゴミのうち、患者さんに触れることがなく、感染の恐れが無い、安全な紙類のゴミなどはどうでしょう。これも一般家庭から出されるゴミと一緒に廃棄してはいけないことになっています。基本的に医療機関を含めた事業所から出されたゴミは、どんな種類のゴミでも一般家庭のゴミと混ぜて出してはいけないことになっているのです。先日、ある知人の歯医者が薬を使用した後の包装紙を一般ゴミと一緒に捨てていいか、某市の清掃局に確認したところ、こっぴどく怒られたとのこと。廃棄物処理法違反行為だと警告を受けたという話です。
ゴミの回収費用ですが、一般家庭から出されるゴミは市町村の税金で行われていますが、医療機関でのゴミは医療機関が経費を支払うことになっています。ゴミの回収には追跡する意味で紙のマニフェスト書類でどこに回収され、処分されたか記述するような仕組みになっています。各医療機関ではこれらマニフェスト書類を一定期間保管しなければならない義務があります。
ゴミの中にはリサイクルにまわるものもあります。例えば、歯科医院の場合、被せ歯や差し歯などは回収されるとリサイクルに回されます。被せ歯や差し歯などには金、銀、銅、パラジウム、白金などが含まれているからです。ゴミの回収業者の中にはこれら回収した金属をリサイクルにまわし、利ざやを稼いでいる業者もいますね。
|