歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年11月25日(火) ばっし、抜糸、抜歯

最近、漢字の読み間違いが頻繁である麻生総理のことがマスコミを賑わしています。未曾有を“みぞゆう”、踏襲を“ふしゅう”、有無のことを“ゆうむ”などなど。一国の総理大臣の発言ですから、あまりに漢字の読み間違いがあると様々な方面に影響が出ます。読み間違いやすい漢字にはルビをふるなど対策を立てるようにすることが肝要ではないかと進言したくなる今日この頃。

ただ、この手の漢字の読み間違い、誰でも勘違い、思い込みがあるのではないかと思うのです。僕もつい最近まで、播種という単語を“はんしゅ”と言っていました。正しくは“はしゅ”なのですが、播という漢字のつくりだけでつい“はん”と思い込んでしまっていたわけです。決して麻生総理のことをバカには出来ないなあと思うとともに、漢字の難しさ、奥深さを改めて思い知った今日この頃。

実は、歯医者の世界でも漢字を会えて世間一般で使っているのとは異なる読み方をする場合、業界風に言う場合があります。
例えば、抜糸。歯医者の世界では抜糸のことを敢えて“ばついと”と発音することが多いのです。これには理由がありまして、抜糸と抜歯が発音が全く同じであることが背景にあります。歯医者の世界では、“ばっし”と発音すると抜歯を意味します。ところが、抜糸も同じ発音です。歯医者の仕事の中では非常に紛らわしく、時には勘違いしてしまう言葉でもあります。そこで、歯医者の世界では抜歯は“ばっし”抜糸は“ばついと”と発音することが多くなっているのです。歯の治療においては、抜歯の頻度の方が抜糸よりも多いことが影響しているのかもしれません。
ところが、医者の世界ではどうも事情が異なっている場合があるようです。以前、形成外科の友人から聞いた話ですが、形成外科では“ばっし”と言えば抜糸を指し、抜歯のことは敢えて“ばっぱ”と呼ぶのだとか。これも抜糸と抜歯が同じ発音で紛らわしいことが理由のようですが、歯医者の世界とは全く正反対の呼び方だけに非常に興味深く感じた次第です。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加