歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年03月30日(月) 後輩とGReeeeNの歯科医師国家試験結果

昨日、僕は大学時代に所属していたクラブの卒業生追い出しコンパにOBとして参加してきました。某歯科大学在籍時、学業よりも集中していた時期もあったクラブ活動。僕は大学卒業後も時間が許す限り大学のクラブ関係の催しものには参加してきました。
これまで何度も卒業生追い出しコンパに参加してきたのですが、今回はいつも様子が違っていました。追い出される主賓であるべき卒業生の何人かが欠席していたからです。
これには理由がありました。実は、3月27日歯科医師国家試験の結果発表がありました。ここに結果が出ていますが、今回の卒業生追い出しコンパを欠席していた卒業生は歯科医師国家試験に受からなかったのです。

昨今、歯科医師の過剰が問題となっています。既にコンビニの1.5倍以上あると言われる歯科医院数。都市部の駅周辺をみてみれば、いたる所に歯科医院の看板が目につくはずです。どうしてこのような事態になったのか?これは歯科医師供給過剰状態による影響です。
かつて歯科医師は現在の医師と同様、数が足りず患者さんが満足な治療を受けらず、社会問題化した時代がありました。この事態を重くみた国は全国各地に歯科大学や歯学部付設を認めた時代があったのです。
その結果、歯科医師は急激に増え、歯科医師不足は解消したのですが、歯科医師はその後も増え続け供給過剰状態に陥ったのです。その結果、今では巷に歯医者があふれるような状態となり、歯科医院の数もコンビニをはるかに上回る事態となったのです。

この過剰な歯科医師数の問題を解消するには、現役歯科医師を減らすかこれから歯科医師になろうとする者を制限するか二つしかありません。
現状では現役歯科医師を減らすことは非常に困難です。国は、これから歯科医師になろうとする者を制限するために、歯科医師を養成する全国の大学歯学部、歯科大学に定員数の減らすよう通達したのですが、各大学歯学部、歯科大学は経営のことを考えると減らすことはできませんでした。また、現役の実働歯科医師数を減少させるために免許の更新性や保険医定年制を導入しようともしましたが、歯科界からの反発が強く導入されていません。そこで国が考え出したのが歯科医師国家試験の合格率を下げることでした。

歯科医師国家試験は難易度については資格試験という性格上、一定の難易度よりも上げることもできません。毎年一定レベルの難易度を維持しながら合格者数を管理するとなると、どこで合格ラインを線引きするかということになります。
実際のところ、国はどれくらい点数を取れば歯科医師国家試験に合格するのか、明確な基準は公開されていません。どうも年によって合格ラインを上下させているようなのです。これは他の国家資格試験でもいえることで、数が足りないとされている医師や歯科衛生士の場合、今年の国家試験合格率は90%以上です。ところが、過剰な歯科医師の場合は67.5%。この違いは非常意図的、政策的であると言えるのではないでしょうか。歯科医師国家試験の合格基準を上げ、合格率を下げることにより歯科医師数の抑制をはかっているとみても不思議ではありません。

今回、歯科医師国家試験に受からなかった後輩は非常に真面目な後輩でした。決してデキが悪い後輩ではなかったのですが、そのような後輩さえ受からないくらい歯科医師国家試験。勉強不足といえばそこまでかもしれませんが、どうも国による歯科医師抑制政策の一環としての国家試験合格率減少政策に引っかかったかもしれません。

さて、今回の歯科医師国家試験ではある人も受けていました。それは、GReeeeNのメンバー。GReeeeNは、若者の間で人気の4人組バンド。今年の選抜高校野球の開会式での選手入場の際にも彼らの曲が使われていましたね。ここのニュースによれば、彼らは歯科医師、または某大学歯学部の学生で今回はメンバーのうちの二人が歯科医師国家試験を受験したとのこと。結果は一人が合格、一人が不合格だったとのこと。GReeeeNはメンバー全員が歯科医師になれば自分たちの顔を公表する公約していたのですが、今年はそれができなくなりました。

僕は歯医者の先輩として密かにGReeeeNをウォッチしてきました。いろいろと思うことはあるのですが、一人が歯科医師国家試験に不合格になったことには非常に残念に思います。

歯科医師国家試験は年に1度しかありません。再度歯科医師国家試験を受験するには来年まで待たないといけません。今回の歯科医師国家試験で受からなかった大学時代の後輩、ならびにGReeeeNのメンバーには来年こそは歯医者として春を迎えることを切に願っています。


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