歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年03月31日(火) 恐るべし呑み屋のママの力

先日、ある集まりで大学時代の先輩何人かと話す機会がありました。いろいろと話をしていたのですが、話題は音楽になりました。僕を含め話をしていたメンバーは全員クラシック音楽が好きでクラシック音楽の話で盛り上がったのです。いろんな作曲家の話や作品の話などをしているうちにコンサートチケットの話になりました。人気のある演奏家のコンサートチケットの入手は難しいということになったのですが、その際、僕は自分が経験した話をしました。それは入手困難であるコンサートチケットの話でした。

僕自身、結婚してからは行く機会が減少したのですが、学生時代はしょっちゅうクラシック音楽のコンサートに足を運んでおりました。
中でも印象に残っているコンサートの一つはあるヨーロッパの有名な指揮者によるコンサート。この指揮者はかつてクラシック音楽の帝王と呼ばれていた指揮者だったのですが、自らが常任指揮者をしているオーケストラと何度も日本に演奏旅行にやってきていたのです。ただ、高齢になるとともにその機会は減少し、おそらく日本への演奏はこれが最後であろう(実際に最後になったのですが)というコンサートツアーがあったのです。
僕はなんとしてもこのコンサートツアーの公演の一つを聴きたいと思ったのですが、人気のある指揮者ですからチケットを入手するのは困難だということはわかっていました。そこで、チケット販売当日、チケットを販売していた音楽事務所の前で徹夜で並び、チケットを入手したのです。その日は2月の厳冬の時期でしたから、徹夜で並んでいると凍傷になるのではないか?と思えるくらい凍える思いで並んだものです。それくらい必死にならないとチケットを入手できないという思いのみで並んだものですが、実際にそうでした。同じコンサートを入手しようとした友人は予約センターに電話を掛け続けたものの電話が繋がらず、電話が繋がった時には既にチケットは売り切れ。如何にチケット入手が困難だったわけです。

ところが、このコンサート終了後数日経って、僕はあることをある友人から聞きました。それはこの友人が僕と同じコンサートに行ったという話でした。僕がチケット入手が難しかったのではないか?と尋ねたところ、この友人曰く
「チケットは簡単に手に入ったよ。」
詳しく話を聞いたところ、この友人のお父さんが会社関係でチケット何枚かが手に入り、その1枚でコンサートを聴くことができたというのです。
僕はその時知りました。まともにチケット販売をして入手難しいコンサートでも実際のコンサートの席には特定の人用にチケットが確保されている事実を。演奏家関係やスポンサー関係でコンサートには必ずといっていいほど、その人達用の座席が確保されているものなのです。それ以外のチケットに関しては一般に売り出されているわけですが、日頃の付き合いなのでしょう、いくら人気がありチケットが売り切れのコンサートでも一定の数の座席だけは座席は確保されているのです。これはどんな音楽のコンサート、演芸、スポーツイベントでも言えることなのだとか。

この話をしていると、ある先輩も同じ経験をしたと言ってくれました。

「最近、文化勲章を受章した指揮者でOがいるだろう?そのOが指揮をするコンサートが毎年N県のM市で行われているよね。」
「あのコンサートって人気があって地元の人でも入手が難しいらしいですね。」
「そうなんだよね。まともに手に入れようとしても難しいという評判だよ。このコンサートなんだけど、私の知人にこの話をしたところ、『チケットを入手できるよ』と言ってくれたんだって。後日、実際にチケットをもらってびっくりしたんだけど、どうしてチケットを入手できたか?尋ねたんだよ。」
「どんなルートだったのですか?」
「知人が行きつけているバーのママがOのファンなんだそうで、Oも時々そのバーに姿を見せにくるんだって。このバーのママがOに直接、M市のコンサートのチケットのことをお願いしたところ、チケットが手に入ったんだよ。それも特等席だよ。周囲をみたらOの嫁さんとか娘、息子が陣取っているような席でね、一人だけ私が浮いているんじゃないかと思われるくらい緊張した席だったなあ。」

僕の話を裏付ける話であったわけですが、それにしてもバーのママの力は大したものです。名の知れた呑み屋さんには有名人が集まり、それなりのネットワークが形成されているものですが、思わぬところでそのネットワークが役立つものですね。
呑み屋のママの力を改めて知りました。恐るべし、呑み屋のママ。


 < 前日  表紙  翌日 >







そうさん メールはこちらから 掲示板

My追加