カゼノトオリミチ
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2006年10月29日(日) 慈しみ




おかえりの鐘が商店街にひびく

街からは 数日前の明るさも消え

午後5時は 暗闇の始まり


風呂屋の煙突よりも高い場所にとどまって

黒のベールにつつまれた なんて薄い月


顔をあげなくていいよ


ひとつひとつ クリアするしかない


その先はどうあれ

今は足元だけを見ていればいいよ と


誰を照らすこともなく

ただ 淡く

爪の先のようなか細いオレンジ色はそこに居て

秋の終わりへと続くこの街を

見下ろしている







natu