カゼノトオリミチ
もくじ|過去|未来

山のむこうに黄金色の夕陽がかがやいて
川べりに小さな闇が生まれる
くねった流れには
小さくさざ波ふるえる
オレンジ色のまあるい柿の実か
線香花火のような固まりが
じじ と呟やき 川のほとりに落ちてゆく
冬の冷たい花火がしずめば
いちにちは終わり
今頃は
ホームで電車を待っている
紺色のコートの背中を風が追い立て
ドアの向こうの安堵だけ
思い描いてる
足元の川底には
いまだ熱い名残が横たわり
明日の日の出の頃には
凍りつき ようやく眠りを得るのだろう
natu

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