カゼノトオリミチ
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2007年01月08日(月) 明け方の旅




ガラス窓から朝がやってくる

昨夜の夢などには気づかぬように カーテンが揺れて

夜明け前の舟に戻りたがる 私の背を押すよ



長い廊下のさんざめき

古い板張りの あの建物には

たくさんの笑顔やおしゃべりが取り残されていたの



私のことは誰も気にも留めず

広い草はらをてんでに走ったり 手をつないで

語り合ったり



またぐことの出来ない溝が 私の前にあり

楽しそうな彼女たちは こちらを見てはいなかった

少し さびしかったよ



握りしめた手のひらが温かい

いつの間にか 目覚めの国へむかう汽車の切符が



旅の途中 記憶のひだの奥にある場所

みんな

ここに置き去りにされたのではないのだね 

安心していいんだね

私は 帰るよ また来るからね








 


natu