カゼノトオリミチ
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2007年02月05日(月) 荒涼




氷の海を渡って吹く風は容赦なく

墨色の樹木たちは ただ目を閉じて寄り添う



のしかかる厚い雲の重さに耐えかね

薄目を開けてみれば

相変わらずに荒涼たる この果ての世界



次に目を開けた時には きっと

春の兆しを宿した薄日が 雲と空の隙間から

きらりと ひと時 氷の粒を照らす

そんな夢を見た気がする



さく さく と 霜柱 踏みつけ
 
誰か歩いてくる音が でも もう目を開けはしない

土中に置き去りにされた記憶が

風のすすりなく声を まだ覚えているだけなのだ



私はもう とっくに朽ちてカタチなど ないのだから










natu