カゼノトオリミチ
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一筋の月明かり頼りに
今宵 水面に浮かぶ舟
葦の葉の切れ間 縫うように
人影が揺れる
大きな背中の船頭さんは 時々 さおを休めて
疲れたように 遠くを眺めやるようす
舟に寄り添う人影たちは
その背中にすべてを託す
寝ぼけた鷺が くうと鳴く
柔らかい草の寝床はあるのだろうか
青い夜明けの空を飛ぶ 夢を見ているのだろうか
水面を風が渡るとき
無数の波頭に 月明かり広がり
さや さや 葦の葉がつぶやく
川は月明かりの向こうへと 舟を運ぶ
止まることなく
戻ることなく
微笑みも涙も 舟の軌跡となり
流れゆく
natu

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