カゼノトオリミチ
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2007年09月03日(月) 往く夏の日に 2




夏の風 吹き抜ける雑木林で

少しよごれた手のひらにのせた ぬけがらを

眩しそうに差し出した

顔を寄せてのぞきこめば 茶色の薄皮の向こうに

キラキラした木漏れ陽 揺れた気がした



透明の水に カラン 透明の氷が泳ぐ

飲み干しても潤わず 渇きはおさまらず

カーテンの間から 見えない空をのぞく



脱皮の時の恍惚感のあと

するすると

ワタシの中身は水洗トイレに抜け落ちた

高いところからそれを確認して

それから

洗浄レバーを引きました



ぽとり落ちた水滴で

テーブルをなぞる ぬけがらの形

何度 夜が来ても

朝はもう訪れない

太陽も昇らない

夏は往ってしまった



natu