カゼノトオリミチ
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小さな街に溶け込むよう
5時の教会の鐘が 鳴ると
路地のあちこちから 生まれる風
いろんなもの 連れてくる
それは
湿ったニオイのむかし話ばかり
ワタシは
頬に 張り付く髪の毛を
振り払う
いやいや するように
街はずれの 坂の向こうの雲
たそがれ色に染まり
そおいえば
あなたの存在は その雲のようで
立ち止まる
遠く 遠いね
自転車のペタル つま先つついて 言い聞かせる
遠いよ 遠いね
だから
もう いいよ
たそがれ時の風は 私を見つけては
むかし話を したがるね
この坂道を 滑走路にしたら
届くかな
あの雲まで
natu

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