カゼノトオリミチ
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手が止まり 思い直して 窓を開ければ
冷たい春の雨
ベランダの物干し 揺れて
うす墨色の低い雲 西へと流れる
なのに
向こうに見える建物たちに ほんのりと
光が射しているように あかるくみえる
恵みの雨 という言葉が浮かび
冷たい空気を 深呼吸
黒い土の下で 眠る小さなものを 思い出す
身体に 春の雨の理由が 流れ込む
気持ちに 新しい息吹が 流れ込む
季節は だまって動いている
どん感な 生き物は
時をもてあまし せつなさばかり集めては
窓の外を ながめている
natu

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