カゼノトオリミチ
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早い春の頃は 気まぐれで
じんちょうげの香りと 降り出しそうな 灰色の雲と
中途半端な ぬるい風が
開けなくてもいい 小さな不安の箱を ひらく
どんよりの 続く先で きっと
忙しくしているのでしょうね
こんな季節など ものともせずに
笑いながら 怒りながら 力強く
どうか 眉根をひそめることの ないように
むずがゆい 鼻をこすってみて
空を見上げ ふと タメ息など つかぬように
気圧の谷が 連れて来る
メランコリーなど 感じぬようにと
願っています 遠くから
街に 静かに 憂いの沈殿する
この 浅い春の午後に
natu

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