世田谷日記 〜 「ハトマメ。」改称☆不定期更新
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ずっと読みかけになっていた、堀江敏幸「未見坂」を読み終えた。 ずっと本を読まなかったり、久しぶりに読んだらちょっとややこしかったり したけれど、これは安心できる、ほっとする読書だった。
「雪沼とその周辺」て評価が高いようで、でも私は「未見坂」の方が好きか もしれない。「雪沼」には周到に抑えられた、そこはかとないお洒落さ加減 を感じるけれど、「未見坂」にはそういうものがないから。
「未見坂」は池澤夏樹の短編集「きみのための薔薇」に似ていると思うこと がある。私は池澤夏樹の短編集では、あの本が一番好きだ。 派手さがなくて、じんわり読ませるから。池澤臭がほとんど消えてしまった ことで、ますます池澤夏樹が好きになるなんて。パラドキシカル!
あと、だいぶ前に近所の古書店で買ったヘッセの「デミアン」、これも よいしょこらしょと、読了したのだった。 やっぱり、あと三十年早く読まなければいけない作品だったと思った。
読みかけて長く放置してある本がもう一冊。 「オオカミの護符」という関東の山岳信仰に取材したノンフィクションがあ るのだけど、これは寝る前に布団に入ってちょびちょび読んでいる。
布団に入って、電気スタンドの灯りで本を読み始めて、すぐに眠くなってし まうときには、まだ私大丈夫だわと理由もなく安心する。
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