世田谷日記 〜 「ハトマメ。」改称☆不定期更新
DiaryINDEX|past|will
2013年02月20日(水) |
「ウディ・アレンの夢と犯罪」 |
しばらく古い映画を続けて観ていたけれど、本日はウディ・アレン、2007年 の作品。 ウディ・アレンにはお馬鹿コメディ路線、シリアスドラマ路線、ラヴアフェア 路線などいくつかの作風がある。「夢と犯罪」はそのうちのどれにあたるの か知らずに観始めたのだが、結局シリアスドラマだった。
主役のイギリス人の兄弟にユアン・マクレガーとコリン・ファレル。 基本的に善良で、大した上昇志向もなくギャンブル好きな弟の悲劇をコリン・ ファレルが好演。
歌人の塚本邦雄は生前、ウディ・アレンのことを「虫唾が走るくらい嫌い」 と言って憚らなかった(確か歌にも詠んでいる)が、「夢と犯罪」の翌年 に作られた「それでも恋するバルセロナ」を観たときには私も、ああこの感 じかと、納得がいったものだ。
「バルセロナ」は途中で嫌になってしまって、たしか最後まで観ずにレンタ ルDVDを返却したのではなかったかと思う。 しかし、今回「夢と犯罪」を観て思ったのは、このひと、どれだけ人間の性 (さが)の彫琢パターンを持っているんだろう、恐らくそのパターンの数だ け傑作映画を作れちゃうんだろうな、ということだった。
「夢と犯罪」はそれくらい、避けがたくありそうな話だったからだ。 シェークスピアなんかの古典劇と同じで、人間である限り誰でもが理解でき る欲望や情、悲しみというテッパンの普遍性だけで作られた物語。
だけど、シリアスなテッパン彫琢だけでは作る本人が飽きてしまう。 それで「ミッドナイト・イン・パリ」みたいな作品が出来てくるのだろう。 「アニー・ホール」の昔からウディ・アレンの映画は結構まめに観てきたつ もりだったけれど、彼の洞察力(人間を見る目)はおそろしいな!と初めて 思ったのだった。
|