☆空想代理日記☆
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どうやら梅雨入りしたのか、地球が水浸しのようだった。
そんななか、丁寧にアキレス腱をのばして走る準備をととのえた。雨に濡れない練習をするためだった。
本来、この練習は、裸の状態にトイレットペーパーを巻きつけて行うものである。水溶性の紙が溶けないように、そしてはだけないように走る訓練にもちいられたようだった。そしてこれは、嘘である。
本当の外出の理由を白状すると、最近たて続けに増殖しているメガネ屋さんの偵察のためだった。
噂によると安くて、さらにサングラスにも度を入れてくれるとのことだったからだ。度を入れてくれるらしいのだが、顔面に対して90度だったら、大変である。
店内へ侵入すると、いつも右肩のブラジャーの紐がずり落ちてそうな女性が接客にやってきた。
「お好きなフレームはありましたか?」
と訊かれ、すかさず不逞者は、
「そんなことでは金メダルはおろか、選手宣誓で恥ずかしい思いをするぞ」
などと、おかしな空気をつくりあげたのだった。
ちなみに安いだけあって、ディスプレイされてあったメガネたちは、全部クズだった。
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