☆空想代理日記☆
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昨日は曇っていて、久しぶりに過ごしやすいと思った。が、やることがなくて右手の親指をずっとくわえていたのだった。
そのうち親指が甘くなって、ココナッツの味がしたらどうしようかと思った。誰にも言えないし、言ってしまったらおでこにそっと手をあてられるだろうことはたやすく想像がついた。
それでもやめられないでいた。町内を親指をくわえたまま散歩しようかと考えた。
おそらく小学生たちに指をさされて、「口から親指が生えてらあ」とかそれらしいことを叫ばれそうだ。
親指の皮が柔らかくなっていくのが感触でわかった。たぶん、白っぽくなっていて、アメリカ人の指のようになってしまっているのである。
自宅のチャイムが鳴った。どうやら来客のようだった。しかし、親指はくわえたままである。
このまま対応して、上目づかいで会話しようか悩んだすえに、タバコを持ってごまかした。意外と小心者だとわかった。
来客は生命保険勧誘員だった。しまったと思った。最初の作戦通りに対応していれば、無駄な説明は聞かずにすんだ。
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