☆空想代理日記☆
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マードレがまだ入院しているので、不逞者は家事をばりばりやらなければならなかった。口のまわりに生クリームをつけながらばりばりやらなければならなかった。
洗濯は機械がほとんど作業してくれるのだが、食事は自分自身の力がためされているようだった。
スーパーマーケットにもずいぶんと慣れた。初めてカートでのお買い物にも挑戦した。
いらないものをカゴに詰めてひとつずつ戻すというような、一見くるくるぱーに思われることも愉しんでできた。
そして昨日はカレーを生まれて初めてつくった。友人たちに訊いてみたところ、家庭科の授業やキャンプなどでつくったことがあったらしかった。
そのような経験のない不逞者のことを友人たちは、「くだばれ、非国民」とののしった。
おそらくそんな授業があったのだろうと思うが、たぶん不逞者は隠れてハチミツでも指で舐めていたのだろう。
ひと通りカレーの材料を仕入れてきた。カレーに関する文章に穴を開けるほど熟読した。
帰宅すると、知らぬ間に入院していたマードレが流れ者のような感じで退院していたのだった。カレーは、つくってもらうことにした。
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