☆空想代理日記☆
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昨日は何もしなかったし、日記になるような出来事もなかった。
たとえば未亡人の女将が1人で切り盛りしているような居酒屋で、女将の壮絶な過去の話に泪するようなことでもあれば日記のネタにもなった。だが、そういう居酒屋は知らないのだった。
もしもそれに近い居酒屋を知っていたとして、そろそろ暖簾もしまおうかという時に、セーラー服を着たおじさんがすべりこんで入店することでもあればネタになった。が、ネタになる前に、なんらかの罪で逮捕されているであろう。
未亡人の女将もセーラー服のおじさんもいないのだが、どっかの居酒屋の帰り道で、花火の火薬をひとつにまとめたお手製の爆弾を仕掛けているような人物がいればネタになった。ネタというよりスクープである。
ただ、不逞者も共犯者だと思われそうでもある。それに都合よく爆弾男は発見できないものである。
あれこれ悩んだ末に嘘が満載の日記を書こうかと思った。しかし度がすぎる嘘を書いて、不逞者の人格が疑われたらどうしようかなどと考えているうちに嘘はやっぱりダメだと思った。
結局、何もなかったし、何も浮かばないのだった。
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