☆空想代理日記☆
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昨日はセミが自然発火してぽろぽろと木から落ちているくらいの暑さだった。
暑いなか温かいものを喰べると美味しいという噂を流したことのある不逞者、嘘を真にしておかなければならない気がした。
ここ不逞者の住んでいる土地には、味噌が嫌いな人間でも笑って喰べられる魔法の味噌があって、鍋にするものだった。
この鍋には鶏肉がかかせないのだった。ということで近所にあるスーパーマーケットへ行った。
鶏肉が驚くほど安く、目玉が飛び出そうであった。これは買わねばならなかった。
ただしスーパーマーケットという場所は、一説によると戦場らしかった。
不逞者の周りにもカートを走らせているおばさんもいたし、シーチキンの缶をかまえて武装しているおばさんもいたし、「若い頃は良かったわぁ」が口癖であろうおばさんもいた。
皆それぞれ眼をぎらぎらさせていた。
50円引きのシールが貼られるのを待っていたからだった。それでなくとも安かったので、良さそうな肉を買い占めてきたのだった。
不逞者のことを、素人だねぇ、みたいな眼で強く睨んでいた。
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