☆空想代理日記☆
INDEX|past|will
ここ数ヶ月の不逞者といえばDVDやおばさんの迫力をレンタルすることに夢中だった。
借りすぎに気をつけていたはずが気がつけばレンタルした品物で溢れていた。このまま返さないでもいいじゃないか、と頭の片隅に住んでいる大きなフォークをもって尻尾がスペード型の悪魔が囁いているのだった。
そんなのはダメ! ゼッタイ! と全裸に白い翼がはえていて、ハープのような弓矢をもった天使が反論した。
天使の言っていることはもっともであるが、どこか腑に落ちないのだった。
道端で出逢った場合、悪魔は黒い全身スーツをまとっているけれど天使はといえば全裸なのである。全裸に凶器をもった存在の言うことは、普通信じないだろう。
不逞者の心が悪魔に傾きかけたところで天使が土下座した。実に美しい土下座であった。土下座をするために生まれてきたといっても過言ではないようだった。
接近戦しかできない悪魔に対して、離れた場所から矢を射抜いて天使が言った。
「さあ、借りたものを返しにいくんだ。さもないと……」
矢が不逞者の顔面に向いていた。黙ってしたがうことにしたのだった。
|