☆空想代理日記☆
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そろそろセミの叫び声も数少なくなってきた。断末魔の叫びのようなものもいくつか聴こえた。
近所の子供たちがセミを無差別に殺害しているのかと思った。それなら不逞者、大人として立派に説教をしなければならないとふと思った。
窓から顔を出してみると、久しぶりに『るのあ〜る』が現れた。眼光するどくセミを捕獲していたのだった。
口にくわえられたセミはそこで断末魔の雄叫びをあげていた。不逞者から視ると、白猫の口許が騒いでいるようになっていて、奇妙な特技をもつ猫のようだった。
魚肉ソーセージをちぎって与えたが、るのあ〜るは興奮さめやらぬ状況であった。
そのままセミを喰べそうな勢いを感じとった。別にセミを喰べることはとめないが、せっかく不逞者が魚肉ソーセージをちぎって与えたので、それもついでに喰べてほしいのだった。
そうしてくれないと、猫にフラれたようにも思われるし、魚肉ソーセージをちぎって投げる趣味をもった独身者だと近所のおばさんたちに笑われるかもしれないからだった。
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