☆空想代理日記☆
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目醒めてすぐに躰のあちこちを痒くもないのにぼりぼり掻いた。とくにお腹周辺を重点的に掻いた。
天候のくずれもやや回復し、陽光によって部屋を浮遊するほこりがきらきら光って視えた。なんかいい感じの朝のように思えたが、寒さは尋常ではなかった。
そして日曜日は恒例の格闘技の練習日である。 部屋の片隅で、試合を控える格闘家なみに緊張する練習をした。
とりあえず足をがたがたと震わせてみたり、瞳孔をひらいて具合の悪くなる妄想して緊張感をたかめてみたのだった。
その妄想のなかで不逞者はものすごくがんばっていた。
たとえば、鳥の巣を背中にのせたまま腕立て伏せをしていて、卵がかえるまでがんばっていた。また時には、重たい亀の甲羅を背負い牛乳配達をして汗を流した。
こんな妄想はどうでもよくて、実際のところ、不逞者がなんのために格闘技をしているのかを白状すると、
「これか? これは、名誉の負傷ってやつかな」
というセリフを格好よく言いたいだけなのである。実に不謹慎な理由で始めた格闘技なのだった。真剣にがんばっている人に申し訳ないと思う。
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