☆空想代理日記☆
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昨日は柔らかいけれども冷たく突き刺さるような雨が降っていた。不逞者はそれをすばやく避けながら歩行することに挑戦した。
右へ左へ、右へ行くとみせかけて後ろへと動いた。周囲からは、「あいつはたぶん、カレーライスにマヨネーズをかけるような奴だ」とでもいわんばかりの視線をもらった。
ほこりのように舞い、魔が差すように歩いた先には白く大きな建物があった。
遠目から視るそれは巨大な豆のようなかたちをしており、率直な意見は不細工な建物であった。
それはいつだったかにできた駅前の本屋だということに気づいたのは、店内を物色していて手の届かない場所にある本をジャンプして取ろうとしている時だった。
清楚な感じのする女性店員が口許に手をあて、笑いをこらえている顔を隠していた。笑いをこらえる顔は、くしゃみを我慢する時の表情に似ているなと思ったが、笑いの対象が不逞者だとわかったので伝えないでおいた。
この本屋は店内まで白かった。まるで化粧品売り場のようだった。なんだかオシッコを我慢するような緊張感があった。
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