☆空想代理日記☆
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秋になったということで早急にやらなければならないことがあった。それは靴を買って、頬ずりしたり平和を祈るために飾ったりすることだった。
靴屋というのは不思議だった。店先には万引きされても困らないような安売りの棚があり、カンフーの達人が好んで履くものが並べられていた。
店内は靴に埋め尽くされていて爆破事件のあとに奇跡的に助かった人が靴の山からひょいと顔を出してもおかしくない状況だったし、圧倒的な景色とはこういうものなのかと驚きをかくせなかった。
店員さんは女性が3人。それぞれが役割をきっちり果たしていた。常人なら途方に暮れてしまいそうな靴の山を解体してかいがいしく並べ替えていた。
不逞者も最初のうちは眼で追いかけていたが、そのうち首も上下に動いていた。まるで光るものを追いかける猫のような気持ちだった。
そして不逞者は爪先が鋭くとがった靴を購入した。とてつもない能力を秘めた靴のように感じたからだった。なにより、殺傷能力が高そうな雰囲気があった。
さすがに爪先がとがっているだけあって、レジ袋は突き破ってしまうし地面にも突き刺さってしまった。
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