☆空想代理日記☆
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雨もあがり、太陽が「これでもかー!」と言わんばかりに張り切っていたが、昨日の不逞者は何にもしなかった。
とくに予定がなかっただけで、淋しい大人だと思われると不逞者の人間性が疑われるので言い訳しておくと、何にもしないという予定を入れていたのである。
こういう日を月に1度ほどもうけている。
だから極力声も出さないようにしていた。トイレも我慢したし、つまみ喰いもしないでおいた。ついでに指をぽきぽき鳴らすことも自粛したし、息継ぎもたまに忘れておいたのだった。
かといって一応は何かしていた。 たとえば意味もなくトイレにこもって流れる水を眺めていたり、窓辺から視える木に柿の実がなっていてそれを棒かなにかで盗もうと計画をたてた。
部屋からキッチンへ続く廊下をメキシコ産のナメクジのように熱い心で這っていき、鍋であやしげな液体をつくったりしようともした。
それにも飽きて何もすることがなくなったので、積みあげていた本をバラバラにして、もう1度積みあげたりしていた。
活字にするとものすごい淋しさを感じるのであるが、本人は実にたのしかった。
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