☆空想代理日記☆
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いつだったかに会得したマジックを昨日は反復練習した。
切れ味は相変わらず鋭く『Demae』も完璧に自分の特技になった。アシスタントのおばさんも快く不逞者の注文をきいてくれ、あとは腕組みしながら男らしく待つだけであった。
そんなに時間もたっていないのにドアチャイムが鳴った。押し方に特徴があり、上品な雰囲気を生まれながらにしてもっているようだった。
ドアを開けるとそこには視知らぬおばさんが2人、立っていた。
明日どころか5分先の未来も暗そうな表情をしていて、コーナーに座り込んだまま動かない真っ白い灰になった矢吹ジョーのように視えた。
おばさんたちは無言でパンフレットを差し出した。キリスト教の勧誘だった。
部屋にこもって金魚と会話をしてそうなおばさんは、「聖書を読んで、心を清らかにしませんか?」とすすめてきた。
もう1人の、「趣味は盗撮です」とか言い出しそうな眼鏡のおばさんもそれに続いた。
「これで、世界がわかります」
最強の自己中心的のような頭がどうかしている発言を真顔でしていた。
不逞者、無言でドアを閉めた。
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