☆空想代理日記☆
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良識ある不逞者、師走にふさわしいことをしようと思った。ひとつは年賀状のことが挙げられる。
年賀状の販売をおこなっているタバコ屋は、少し前からシャッターが降りたままになっている。したがって郵便局へ行けば購入できるのではないかと閃いた。
局内は独特なにおいがあり、リフトを待っているような緊張感さえも漂っていた。
年賀状はまだ売ってなさそうだった。だが、貯金しにやってきている人がたくさんいた。
この郵便局というところは、どんな人でも貯金ができるようだった。たとえば、髪の毛が紫色のおばさんや結婚に失敗した人でも貯金ができるそうだ。また、前日までは何事もなかったのに目醒めると頭が綺麗に禿げあがってしまった人でも貯金ができるようだった。
なんと便利な場所だろうかと不逞者は首のあたりをぼりぼり掻きながら感心した。
しかし、前世がインディアンでなおかつ嘘ばかりついていたらしい酋長の生まれ変わりの不逞者は、貯金なんてするくらいなら切腹したほうがマシだと考えているような人間なので、まったく関係のない施設なのだった。
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