☆空想代理日記☆
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先日、とある殺風景な飲食店で友人であるコンペイトウ君と食事した。
噛むたびにこめかみがぴくぴく動く彼の背中には半透明の男性がべったりとくっついていた。
その半透明の男性は、野球選手でいうと8番バッターみたいな髪型をしていた。いてもいなくてもどっちでもいいような存在を主張しているようであった。
不逞者はふと真似したくなった。
さっそく昨日、『髪斬り般若』君が腕を組みながらお客さんに対して脅しをかけている脅迫散髪店に行った。
「8番バッターのようにしてください」
このような注文をした。髪斬り般若君は顔面を歪めて考え込んでいたが、顔面が歪んでいるのは生まれつきではないかと不逞者は心のなかで素速く訂正した。
頭部加工技術をなりわいとしている髪斬り般若君は、脳内で不逞者の言葉を分析しているのである。
その証拠に、空は暗くなり、灰色の雲がものすごいはやさで流れてきて一面を覆い隠した。
髪斬り般若君が首をひねると、雷鳴が轟き前歯と同じくらいの大きさのヒョウが降った。さらに街全体を停電までさせてしまった。
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