☆空想代理日記☆
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昨日は朝からひどい雷雨で、まるで湾岸戦争の爆撃シーンのようだった。しかし、不逞者は湾岸戦争をテレビで視ていただけなので実のところあんまりわからないのだった。
そして不逞者一族は迎年の儀式にむけて活動した。ある者は神棚をつくるために奔走した。ある者はお供え物はなにかの生け贄だと勘違いしたまま行方がわからなくなった。
またある者は、御節料理の材料を揃えるために窃盗団を結成して時がくるまで地下に潜った。
不逞者はそんな馬鹿なことはしなかった。 せいぜいが、牛の頸椎あたりを手刀で刺し貫いただけだった。
牛の頸椎から流れ出る新鮮な血液を洗面器に溜め、そのまま70時間くらい凍らせた。
かちかちになった血液の塊を洗面器から取り外した。それをカンナと呼ばれる道具で丁寧に削った。
すると、黒っぽく凍った血液が徐々に透明になるのだった。さらに続けていくと、やがては削っている不逞者の姿が反射した。
円く形を整え、我が家の中心に飾った。まさにこれが迎年の主役的存在である『鏡も血』なのだった。
すべては、不逞者の悪ふざけである。
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