中国農村の大規模化
生産性が低く小規模の運営が中心だった中国の農村が大規模化になりつつある。農民が自ら出資設立する専業合作社がその起爆剤。浙江省大市村は大規模化を機に「残留農薬の少ないナシづくり」を目指し、食の安全を求める消費者の心をつかもうとしている。 (9月1日付け 日本経済新聞)。
戦略ポイント:中国の農業でも時代のニーズをつかみはじめている
1950年代から中国の農村はソ連をまねた「人民公社」として大規模集団農業を推し進めましたが、飢饉や非効率性から収穫が伸びず80年代の改革開放政策と共に人民公社は消滅しました。
また、中国の流動人口は約1億5,000万人と言われていて、大半は農村からの出稼ぎ労働者です。胡錦濤政権は戸籍の再整備と共に、地方都市周辺での製造工場による労働者吸収を長期目的として推進しています。
農村自身でも変化が始まっています。この記事のように次第に大規模化などを通じて消費者が必要とする商品の開発に着手しはじめました。大都市近郊の農場では商品作物(現金化が容易な商品)を中心に都市部消費者のニーズをうまくとらえています。
今後、中国においても農産品のトレーサビリティ(どこでどう作られたかの情報開示)や有機無農薬化、また遺伝子組み換えのない品種の生産など、付加価値のある商品が求められます。上海の久光百貨でも中国各地の付加価値の高い農産物が並ぶようになってきました。
このあたには日本の農業生産技術や流通方法にノウハウのある分野であり、多くのビジネスの可能性が残っています。
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