Skipper Johnの航海日誌

2007年09月12日(水) 在中日系企業の組織モデルが曲がり角に

在中日系企業の組織モデルが曲がり角に

日系企業は海外での投資展開が相当に慎重で保守的になっている。また日系企業のグローバルな組織モデルは極度に本社へ集中していて、世界各地に散らばる子会社には決定権が無く、現場での執行権しか与えられていない。中国でも現地化が強く求められており、現地化の試金石としては中国市場にマッチした商品をきちんと投下できるかどうかにかかっている。
(9月10日付け 経済観察報)

戦略ポイント:日系企業のガバナンスのあり方

各企業のガバナンスのあり方は、その企業のミッションや戦略によって決まってくるものですので一定の理想的なモデルがあるわけではありません。また時代によってもガバナンスの仕方が変わってきています。

例えば、4-5年前までは日系の大企業は「カンパニー制」を採用しているところが増えましたが、それはそれで横の連絡が悪くなるなどの弊害も指摘されるようになり、今ではあまり聞かなくなりました。

この記事のように中国でも日系企業をよく研究している人がいるもので、本社決定権が極度に強い日系企業の本質を突いていると思います。本社の決定権が強いのはそれはそれでいいのですが、日系企業は日本国内市場のみに特化するのが得意な反面、中国市場のことも日本本社で決めることが多く、中国市場の要求とはマッチしにくい商品開発をして現場で不評を買っているという側面が見えてきます。

取締役会などを含めた集団で意思決定をすることに慣れている日本企業は、現場単独で意思決定させて任せるということに慣れていない感じがします。上からの指示を待つ体質が、中国という大きな市場を前にして日系企業の競争力を低下させているとしたらもったいない気がします。

先日、トヨタに関する日経ビジネスのウェブ記事を読んでいたら、「トヨタ・サンアントニオ工場のヘンリー氏いわく、トヨタのやり方は上の人間が解決策を見つけてくるのではなく、どうすればいいか君が教えてくれというやり方だ。」と書いてありました。現場の改善提案を重視するトヨタらしい話だと思います。

企業のガバナンスをすぐに変えることはできませんが、現場を中心として意思決定までのプロセスに深く関わりつついい方向に持っていくことはどこでも可能です。今すぐできることから始めてみることが大切だと思っています。


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Skipper John