| 2007年09月24日(月) |
車いすの「ポルシェ」 |
(日本)車いすの「ポルシェ」
「トヨタではなく、ポルシェを目指している」。車いすメーカー・オーエックスエンジニアリング(千葉市)の石井重行会長(59)の口癖だ。競技用と一般用の車椅子を作って15年。競技用車いすは4度のパラリンピックで計67個のメダルを獲得した。会長はオートバイの事故に遭い下半身不随に。既存の車いすに抱いた不満を解消し、車いすを自社開発した。 (9月23日付け 日本経済新聞)
戦略:世界中で、わが社しか作れないもの
「トヨタではなく、ポルシェを目指している」というこのフレーズにシビれてしまいました。
競技用の車いすでもいろいろあるのだろうと想像できます。以前、パラリンピックのマラソンやバスケットボールの試合をテレビで見たことがあります。マラソンの車いすはギア比が高そうで、少し車輪を手で回してもス〜っと走っていきそうな感じでした。対照的に、バスケットボール用の車いすは小回りが利いてブレーキ能力も高い感じでした。
同記事によれば、現在開発中の新型車いすは「高齢者の外出を支援する、夢のある商品にしたい」と新たに挑戦中だそうです。競技用車いすの製造で培ったノウハウを一般の高齢者向けに転用するわけです。高齢者が使う「車いすのポルシェ」をぜひ見てみたいものだと今から楽しみです。
この石井社長は下半身不随になるというアクシデントを乗り越えて車いす製作で世界の頂点に立ちました。下半身不随というのはおそらくどんな人にとっても絶望的な試練といえるでしょう。石井社長はこの試練を正面から受けとめ、既存の車いすに感じた改良点を自ら実践してトップになったわけです。アクシデントが石井会長の生き方を変え、会長自身がその運命を天命として受け止めて新たな道を切り開かれたのでしょう。全く頭の下がる思いで一杯です。
人生は思い通りにならないことが時折起きてきます。私などはつい社会や人のせいにしてしまいがちです。悲運な自分を哀れんで多くの時間を過ごしてしまいます。運命を呪うより運命を活用して乗っていくことも、辛いときには必要なのかもしれません。
「車いすのポルシェ」という一言で、「普通の会社では作れない最高のモノを作る」という決意がビシビシ伝わってきます。腹を決めた人を止めることは誰もできません。覚悟を決めて一心に突き進む大切さを今日は教わりました。ありがとうございます。
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