舌の色はピンク
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他人さまの家のカレンダーとは地味に興味惹かれる代物で、 今日訪れたお宅のリビングにかけてあったカレンダーは 格言らしき一文が毎月ごとに載せられているスタイルだった。 そのカレンダーはずっと放置されているようで、 開かれたページは2004年7月のまま。大いなるミステリー。 事情を家主に問いただすことは自分の性格上できなかった。
その、半年間以上もリビングの一角で 存在を主張している2004年7月のページのありがたいお言葉は、 ストレートながらもなかなかの麗しさを呈していて、やや胸に響いた。 「耳で聞くより心で聴こう」 これはわかる。僕はそう思った。 そこかしこで聞き覚えあるような言葉だけど、 たしかにその通りだよねウンウンと肯いた。
同調は束の間だった。
ページの四分の一ほどを占める大きさで 太く堂々と書かれたその言葉の横には 一回り小さく三行ほどの解説が添えられている。 それの一行目を見やって、己の読解力が完全に消失したかと思った。 「本当に聞くとは無心で聴くこと」 え……えぇぇー……。
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