こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年01月18日(日) 言葉


 女という生き物は言葉を欲しがるものです。

 でも、あの人と色々なことがあってから、

 言葉を欲しがるのはもう止めようと思いました。

 たとえ恋人からとびきり甘い言葉を引き出したとしても、

 それらの言葉は移ろいやすく、

 いずれ心から離れて独り歩きしてしまうものだから。

 それに男性から自分にとって嬉しい言葉を引き出そうとする

 その女の行為自体、男性にとってはげんなりさせられるものなのです。



 その日、彼と私は居酒屋さんで飲んでいました。

 彼は焼き魚の一番美味しい部分を骨からはがして私に勧めてくれたり、

 私のグラスが空くとすぐに

 私がその時飲みたいと思っているものを注文してくれたり、

 いつもと同じ優しさを見せていました。

 そして、そんな彼の紳士的な振る舞いとは対照的に、

 彼の口からポンポンと発せられる自由奔放な言葉は

 時々私の胸にズキンと来るのでした。

 彼は女友達が多いから、常連であるお店のご主人との会話の中には

 私が知らない女性の名前も数人登場していました。

 彼は初めて私に打ち明けた時以来、

 元カノや今まで付き合った女性の話は自分からしようとはしないので、

 話に出てくる女性達はただの友達や仕事関係者なのでしょう。



 お店では笑って聞き流していた彼の話が

 別れてから急に気になりだしました。

 半ば酔った頭で私は彼にメールしました。


  私が焼餅を焼くようになったら鬱陶しいですよね〜?


 私のメールの内容には触れず、彼から返信がありました。


  今日は楽しかったです。

  早く次に会いたいねぇ。^^



 翌日のメールのやり取りでは、

 焼餅の件に関しては私の考え過ぎと言われました。

 付き合って下さいという言葉も無しに何となく始まった私達。

 Tさんにとって私はどんな存在なのかメールの中で尋ねました。




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 彼はそのメールを最後にしてそのまま眠ってしまったようです。

 とびきり寝つきの良い彼に、

 恐らく翌朝読むであろうメールを送りました。

 ありがとうとごめんなさい半分ずつの気持ちをこめて。


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理沙子

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