こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年02月01日(日) 露天風呂での約束


 檜の露天風呂の縁に並んで座って

 彼と話をしました。

 簾の向こうには灰色の冬の空と白い河が見えます。


 「温泉に行ってもなかなかこうやって

  二人でお風呂に入れる所って無いよね。」


 彼が言いました。


 「温泉行きたいなぁ。」


 「いいよ。いつかね。」


 「ね、近い所でいいから旅行に行きたい。」


 「そうか。じゃあ行こうか。」


 「ん、ね、指切り。」


 ほとんど無理やり彼と指切りをしてしまいました。

 彼は優しく笑っていたけれど。



 指切りしながら思いました。

 この約束はきっと果たされないだろうと。




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 これは女の直感なのでしょうか。

 それともあの人との別れのトラウマなのでしょうか。

 でも、彼との時間が幸せであればあるほど、

 きっとこの幸せはいつか消えてしまうと思うのでした。

 

 彼が湯船から上がる時に

 一緒に出るのが恥ずかしくて後に残っている私に言いました。


 「そこ、上がる時に気をつけろよ。滑るから。

  本当にそそっかしいんだから。」


 彼は誰にでも優しい。

 先日行ったおでん屋のおばあちゃんにも

 すれ違う小さな子供にも。

 私は彼のそんな公平な優しさが好き。

 彼の特別な愛を貰えなくても

 彼の周囲に分け隔てなく与えられる優しさの中にいられれば、

 それでいいと思えるのでした。



 昨日は彼に会えない週末でした。

 別れたあの人の言葉がトラウマになって

 時々悲しみで胸がいっぱいになります。

 7年も一緒にいたのにあの人との恋は終わりました。

 美しさのかけらもない無残な終わり方でした。

 落としたガラスのグラスのように粉々に砕けた7年の恋は、

 始まったばかりの彼との恋にも悲しい影を落としています。


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理沙子

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