最近精神的に彼を好きになればなるほど、
彼に抱かれている時にふと冷静になってしまうことがあります。
そんな時、彼は動きを止めずに
「集中して。」
と優しく私に囁きます。
もしかしたら精神的な繋がりが希薄な方が、
肉体的に結びつこうという欲求が強くなるのかもしれません。
肉体の欲求は本来利己的なものだから、
相手に対する思いやりや優しさが時に自分の肉体の正直な欲求に
ブレーキをかけてしまうことがあるのかもしれません。
彼に腕枕をしてもらいながら、私は長い時間まどろんでいました。
彼が電話で話す声がぼんやりと聞こえていました。
部下から電話があって仕事の話をしていたようです。
夜は焼き魚の美味しい居酒屋さんへ出かけました。
後で行きたいラーメン屋さんがあるので、
ここで食べる量は控えめにしておこうと彼が言いました。
彼が来年の一月に仕事で横浜へ行くという話をしました。
「いいなぁ。私も横浜に行きたいなぁ。」
「理沙子も一緒に来るか?」
「いいんですか?^^」
「いいよ。多分一月の末頃だと思うよ。」
「あっ、でもその時期ってやっぱり駄目かも。^^;」
「そうなのか?」
「うん、凄く残念…。」
「じゃあまた、別の機会に。^^」
一瞬だったけれど、彼と二人で横浜の街を歩く姿を想像しました。
夢みたいな話の流れで、
「本当ですか?^^」
「ああ、本当だよ。^^」
最近彼は来年やその先の話をしてくれることが多いのです。
今まで彼との約束は全て果たされていることを思うと、
いつか彼との海外旅行も実現出来るかもしれません。
彼と外国へ行くなんて夢みたいな話だけれど、
本当のことを言えば私は今のままで十分幸せなのです。
私は心の中でこれ以上求め過ぎてはいけないと思いました。
「少し歩こうか。」
居酒屋さんを出ると彼が言いました。
彼が気になると言っていたラーメン屋さんを探しながら、
ネオンで照らされた夜の街を歩きました。
少し薄暗い脇道に入ると彼が手を繋いでくれました。
15分ほど探し歩いて、ようやくそのラーメン屋さんを見つけました。
昔サックス奏者だったという店主は、
小さな店内に鳴り響くような音量で古いジャズを流していました。
私達は二人とも塩ラーメンを注文しました。
彼の器の上に割り箸を置いてから私が自分の割り箸を割ると、
「これはあまり親切じゃないな。」
と彼が言って、私の割り箸を取り上げました。
「俺、割り箸を綺麗に割れないから。^^」
器用な彼が割り箸を割れないなんて少し意外でした。^^
彼にとっては子供の頃に食べた懐かしいラーメンの味といえば、
塩ラーメンなのだそうです。
お酒の後に彼と一緒に食べた塩ラーメンはとても美味しかったです。
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