こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年10月20日(火) 旅の始まりは


 彼と二泊三日の旅行に出かけました。

 迎えに来てくれた彼の車に私が乗り込むと、


 「後ろに岳がいるよ。」


 と彼が言いました。

 私が驚いて助手席の後ろを見ると、

 後部座席の下にうずくまっている岳がいました。

 彼の愛犬、岳は愛らしいミニチュアダックスフンドです。

 岳は今から自分が嫌いな場所に連れて行かれることを知っていて、

 怯えているように見えました。

 私は岳が可哀相になって、


 「岳も一緒に連れて行けたらいいのにね。」


 と言いました。




 動物病院に着くと、彼は岳を抱っこして外へ連れ出しました。

 それから助手席のドアを開けると、

 病院に預ける前に私に岳を抱っこさせてくれました。

 思わず頬ずりしたくなる柔らかい茶色の毛と

 じっと私を見つめるつぶらな瞳が愛らしくて、

 そのままずっと抱き締めていたい気持ちになりました。




 彼が岳を預けて車に戻って来ました。


 「帰りのお迎えの時にも岳に会える?」


 「いいよ。^^」


 「Tさんが私のことを『ワンコの次に好き』って言ってた気持ち、

  よく分かりました。^^」


 「俺、そんなこと言ったっけ?(笑)」


 「はい、私のことは二番目に好きだって。(笑)

  でも、岳はあんなに可愛いからそう言うのも無理はないです。

  私がもっと若かった時だって岳ほど可愛くはなかったもん。^^」


 私達の車は最初の目的地に向けて走り出しました。




 ランチタイムは高速から下りて、

 以前から気になっていたお蕎麦屋さんへ行きました。

 彼は天せいろの大盛り、私は鴨せいろを頂きました。

 とても美味しかったです。




 一日目の宿泊先のホテルに着いたのは夕方の4時頃でした。

 通されたのはバルコニーとキッチンが付いた美しいダブルのお部屋

 でした。

 冷蔵庫に用意されていた飲み物とフルーツを頂きながら、

 しばらくソファに座って一休みしました。

 5時間近くずっと運転していた彼の方が疲れていた筈なのに、

 私の顔色があまり良くなかったのか、


 「大丈夫か?」


 と何度か彼に心配そうに聞かれました。




 しばらくお部屋で寛いだ後、市街が一望出来る展望台へ出かけました。

 私達の車が山の上の駐車場に着いたのは黄昏時でした。

 暮れなずむ空と海、港のある街の色がとても美しく、

 彼と二人で遠い異国の地を訪れているような気持ちになりました。




 夜は一ヶ月ほど前から予約していたバスク料理のお店へ出かけました。

 スペインとフランスにまたがるバスク国のお料理ということで、

 どんなメニューがあるのか興味津々でした。

 新鮮な魚介類や野菜など素材を生かした素朴で家庭的な味のお料理は

 どれもがワインにぴったりでした。




 最近疲れていると少しのお酒で酔ってしまう私ですが、

 この日も白ワイン1杯と赤ワイン2杯で相当酔っていました。

 酔うと眠くなるのもいつものことで、

 ホテルに戻ると彼が靴を脱がせてくれました。

 彼が入れてくれたバスタブの熱いお湯に浸かると、

 そのまま眠ってしまいそうになりました。

 ぼんやりとした意識の中で彼に悪いなぁと思いながら、

 白いバスローブを羽織り、彼が待つベッドに入りました。



 キスをして、バスローブの紐を解かれた記憶はあるのだけれど、

 それから先のことはほとんど覚えていないのです。




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 翌朝は疲れも取れて爽やかに目覚めました。

 ホテルのお洒落なレストランで美味しい朝食を頂きました。

 焼きたてのパンと自家製のジャム、絞りたてのフレッシュジュース、

 玉葱のポタージュ、オムレツとフレッシュサラダ、

 フルーツと自家製ヨーグルト、最後には美味しいコーヒーを頂きました。




 10時頃、ホテルをチェックアウトして、

 私達の次の目的地である自然公園へ向かいました。

 天気予報は大きく外れて、空は美しく晴れていました。

 彼も私も「誰のお陰でこんなに晴れたんだろうね?」と

 口々に言い合いました。^^


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理沙子

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