愛し合った後に彼が私を抱き寄せて、髪にそっとキスをしました。
私が彼の胸の中でじゃれていたら、彼が携帯電話を開いて、
来月友達から買う予定の車の画像を見せてくれました。
ゲレンデバーゲンという名前のクロスカントリービークルです。
車が届いたら一番先に私を助手席に乗せてくれると言った彼。
今年の夏は二台目のメルセデスで
色々な所へ連れて行って貰えそうです。
彼は先週からずっと喉が痛いと言っていたけれど、
夕方になると咳き込むようになりました。
エレベーターの中で、
「俺、熱無いよな。」
と彼が呟きました。
私は心配になって、彼のおでこに手を当てました。
「熱は無いみたいだけど…。」
そう言ってから、彼の思いっきり嬉しそうな表情に気づきました。
「何、嬉しそうな顔してるんですか〜。
そんなに私のことが好きなんですか?^^」
私が思わず呆れて言うと、彼は子供みたいに笑って頷きました。
分煙されていないイタリアンレストランでの食事は、
彼の喉の状態をさらに悪化させるものだったので、
私達は早めに切り上げてホテルに戻りました。
お部屋に入ると、彼はすぐに部屋着に着替えてベッドに横になりました。
彼の体調を気遣って、私が服を着たままソファに座っていると、
「何でそんな所にいるんだよ。寂しいじゃないか。」
と彼が言いました。
「Tさんって寂しがりやですよね。」
「そうだよ。俺って凄く寂しがりやなんだ。」
「うん、知ってます。^^」
私は心の中で、友達が多い人は本当は人一倍寂しがりやなのかも
しれないと思いました。
帰りの車の中で、新しい首相の話になりました。
「鳩山さんは短かったよね。一年経ってないでしょう?」
「8ヶ月って言ってたな。」
「Tさんと付き合い始めて、何人首相が変わったんだろう。」
何気なく言った私の言葉に何故か彼は大笑いしていました。^^;
家に帰って調べてみたら、
おやすみ前に彼にメールを送りました。
何人総理大臣が変わってもTさんとずっと一緒にいたいから、
お互い身体に気をつけましょうね。
今夜はゆっくり休んで下さいね。お大事に。
翌日、予定通りゴルフへ行った後に行きつけの病院で診察を受けた
彼からメールがあり、電話で話しました。
「やっぱり喉が炎症を起こしてるって。
よくこんなにひどくなるまで放っておいたねって言われたよ。
喉から血が出ているらしい。」
「痛そう…。^^;
しばらく無理しない方がいいですね。」
「薬を何種類も貰ったよ。
お酒も飲んじゃ駄目だって。
お酒を飲んでもいい薬は無いかって聞いたんだけど、無いって。^^」
「もう…。良くなるまで飲んじゃ駄目ですよ。
今日はゴルフをしていて具合悪くならなかったんですか?」
「それが不思議なんだよなぁ。
変な所に力が入ってないせいか、やたら調子が良かったんだよ。(笑)」
「その感覚を覚えておいて、
元気になってから使ったらどうですか?(笑)」
「それが上手いこといかないんだよなぁ。
だからゴルフは面白いんだよ。^^」
「Tさんはなかなか自分の思い通りにはいかないことの方が
好きだものね。
だから、私もそういう風に振舞ってます。^^」
「それは違うだろう。^^」
「当分の間は夜遅くまで飲み歩いたりしないで、
大人しくしていて下さいね。」
「ああ。土日は家でゆっくり休んでいるよ。
木曜日は元気になって理沙子に会えるから。^^」
そう言った途端に、彼は咳き込み始めました。
「長く話さない方がいいですね。
もう電話切りますね。お大事にね。」
とりあえず大きな病気ではなかったので安心しました。
彼の気持ちの変化なんて彼の体の不調に比べたらちっぽけなこと。
お互い健康でなければ、
心身ともに愛し合うことなんて出来ないでしょう。
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