こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年06月24日(木) 風のレストラン


 幸せな気持ちで目覚めた朝、

 お部屋のカーテンを開けると生憎の曇り空でした。



 彼は既に仕事の用事で出かけていて、

 10時には私を迎えに来ることになっていました。

 私はお部屋を片付けて、シャワーを浴び、メイクをしました。

 ちょうど用意が出来たところで彼が来ました。



 この日はずっと楽しみにしていたフレンチレストランと

 その近くの温泉に行くことが決まっていました。

 彼とのドライブが楽しいのは、車の中だと私達のお喋りも弾むから。

 途中、ファーストフードで軽い朝食を取った後は

 真っ直ぐ目的地に向かいました。



 市内から2時間ほどで田園地帯が広がる小さな村に着きました。

 周囲の自然と見事に調和した緑の屋根の建物が

 一度は彼と訪れたいと願っていたオーベルジュでした。

 ガラス張りのキッチンを取り囲むようにテーブルが配置され、

 シェフ達が調理する姿が見えるようになっていました。

 大きな窓からは降り始めた雨に濡れる美しい緑が見えました。

 私達はゆっくり時間をかけて、

 地元の野菜をふんだんに使った美味しいお料理を頂きました。



 食事の後、近くの温泉へ行きました。

 白と赤のグラスワインを一杯ずつ飲んでいた私は、

 温泉から上がると急速に酔いを感じました。

 休憩室で私を待っていた彼に、


 「しばらくここで休んでいてもいい?」


 と聞きました。

 そこは和室になっていて、私達二人しか居ませんでした。


 「もっとあっちへ行くか?^^」


 廊下側からは見えないような場所を指して、彼が冗談を言いました。




 外はまだ強い雨が降っていました。

 彼は温泉施設のエントランスの前に車を回すから

 しばらくロビーで待っているようにと私に告げました。

 駐車場まではほんのわずかな距離なのに、

 彼は私が雨の中を歩かずに済むように気遣ってくれました。


 彼の車の助手席に座った途端、私は優しい彼に甘えたくなって、


 「キスして。」


 と呟きました。


 「どこでして欲しいの?

  ここで?それとも部屋で?」


 「人が見ていない所ならどこでも…。」


 「じゃあ、ここでする。」


 彼は私の唇にとびきり甘いキスをしました。




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 「俺もしたくなった。」


 彼の大きな右手が私の左手を握り締めました。 


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理沙子

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