幸せな気持ちで目覚めた朝、
お部屋のカーテンを開けると生憎の曇り空でした。
彼は既に仕事の用事で出かけていて、
10時には私を迎えに来ることになっていました。
私はお部屋を片付けて、シャワーを浴び、メイクをしました。
ちょうど用意が出来たところで彼が来ました。
この日はずっと楽しみにしていたフレンチレストランと
その近くの温泉に行くことが決まっていました。
彼とのドライブが楽しいのは、車の中だと私達のお喋りも弾むから。
途中、ファーストフードで軽い朝食を取った後は
真っ直ぐ目的地に向かいました。
市内から2時間ほどで田園地帯が広がる小さな村に着きました。
周囲の自然と見事に調和した緑の屋根の建物が
一度は彼と訪れたいと願っていたオーベルジュでした。
ガラス張りのキッチンを取り囲むようにテーブルが配置され、
シェフ達が調理する姿が見えるようになっていました。
大きな窓からは降り始めた雨に濡れる美しい緑が見えました。
私達はゆっくり時間をかけて、
地元の野菜をふんだんに使った美味しいお料理を頂きました。
食事の後、近くの温泉へ行きました。
白と赤のグラスワインを一杯ずつ飲んでいた私は、
温泉から上がると急速に酔いを感じました。
休憩室で私を待っていた彼に、
「しばらくここで休んでいてもいい?」
と聞きました。
そこは和室になっていて、私達二人しか居ませんでした。
「もっとあっちへ行くか?^^」
廊下側からは見えないような場所を指して、彼が冗談を言いました。
外はまだ強い雨が降っていました。
彼は温泉施設のエントランスの前に車を回すから
しばらくロビーで待っているようにと私に告げました。
駐車場まではほんのわずかな距離なのに、
彼は私が雨の中を歩かずに済むように気遣ってくれました。
彼の車の助手席に座った途端、私は優しい彼に甘えたくなって、
「キスして。」
と呟きました。
「どこでして欲しいの?
ここで?それとも部屋で?」
「人が見ていない所ならどこでも…。」
「じゃあ、ここでする。」
彼は私の唇にとびきり甘いキスをしました。
「俺もしたくなった。」
彼の大きな右手が私の左手を握り締めました。
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