お泊りデートの最終日は朝から良く晴れていたので、
ホテルをチェックアウトしたら郊外へドライブに行こうと
彼が提案しました。
前日は雨雲で覆われていた空もすっきりと晴れ渡り、
遠くの山々まではっきりと見ることが出来ました。
「あの雲の形、綺麗だなぁ。」
「飛行機雲の下を反対方向に別の飛行機が飛んでるよ。」
「大好きな俺の顔ばかり見ていないで、
あの綺麗な山をちゃんと見てるか?^^」
彼は運転しながらも、助手席の私に沢山の言葉を投げてきます。
彼とのドライブデートが最高に楽しいのは、
自然の美しさをリアルタイムで共有出来るから。
思いがけず懐かしい風景に出会った時に、
彼の故郷や私が知らない昔の彼の話を聞くことが出来るから。
彼の高校時代の話になった時に、
「バスケ部の主将なんてモテそうですよね。^^」
と私が言うと、
「全然モテなかったよ。」
と彼が言いました。
「初恋の人とは?」
「あれは俺の片想いだから…。」
以前にも聞いた話なのに、私の胸はキュッと痛みました。
「告白しなかったの?」
「しなかったけど、何となく伝わってたな。」
「一度も結ばれなかった相手の方が
男の人の心の中に永遠に残ることが出来るんだって。」
「俺の心の中だけに残ってたりしてな。(笑)」
「女はプラトニックな関係だった相手のことなんか
すぐに忘れてしまうもの。
もしも生まれ変われるなら、
彼女が結婚してしまう前に自分のものにしたいと思いますか?」
「それはないよ。
それよりも寧ろ他にしたいことがあるな。」
大好きな車を運転している時の彼は子供みたいに無邪気だから、
普段は心の引き出しに仕舞ってあるような話も
ポロッと口にしたりすることがあるのでしょう。
来月友達から買う予定だったゲレンデバーゲンは、
手続きが遅れて9月に届くことになったと彼が言いました。
「その車で星を見に行きたいですね。^^」
と私が言うと、
「山に紅葉を見に行こう。」
と彼が言いました。
彼が車のルーフとウインドウを開けると、
眩しい光と心地よい風が入り込んで来ました。
「気持ちいいな。」
「凄く気持ちいい。^^
こういう気持ちの良さもいいですね。」
彼との楽しい時間は私を心身ともに元気にしてくれます。
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