こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2010年08月19日(木) 二人の夏


 「電話するから。」


 私が聞いた最後の彼の言葉。

 それから二日間が経過していました。

 今週前半の彼の多忙なスケジュールは

 先週のお泊りデートの前から知っていたので、

 もし連絡があるとすれば水曜日だろうと思っていました。

 彼がどのような結論を出すのか、私には予想出来ませんでした。

 ただ付き合い始めの頃から私がずっと将来の別れを意識していること、

 どんなに好きでもいつかは私達に別れが訪れるだろうということは、

 彼も十分に分かっていることなのです。

 だから、私が彼に送ったメールは別れのメールでもあると同時に、

 私が彼に送った初めてのラブレターのようでもありました。




 水曜日の朝、私は不安な気持ちで待つことを恐れて、

 時間がある時に電話がしたいと彼にメールを送りました。

 彼からの返信には2時過ぎに時間が出来たらメールをすると

 書かれていました。

 ちょうど2時を過ぎた頃、少し遅いお昼休みに彼からメールがあり、

 今なら電話が出来ると書かれていました。




 「こんにちは。」


 受話器から大好きな彼の声が聞こえて来ました。


 「こんにちは。暑いですね。」


 「暑いね。俺の声が聞きたかったの?^^」


 私から電話をした時のいつもの彼の口癖でした。


 「うん…。

  お昼ご飯は食べたんですか?」


 「もう食べたよ。」


 「私はダイエット中です。

  昨日お菓子を食べ過ぎてリバウンドしそうだけど。^^;」


 「無理しなくていいよ。」


 私が目標の体重を彼に告げると、

 そこまでしなくていいよと彼が言いました。


 「週末はどうする?」


 いつもと全く変わらない調子で彼が聞きました。

 週末のデートは先週の諍いの前から約束されていたことでした。

 私の心の中で一気にほっとする気持ちが広がりました。


 「私、この前Tさんが教えてくれた映画、調べてみましたよ。」


 先週のデートの時、

 彼が私に携帯電話のテキストメモに入れておくように言った、

 来月以降に公開される幾つかの映画の名前。

 私達はしばらくそれらの映画の話をしました。

 それから私達はごく自然に、

 今度会う日の待ち合わせの時間を決めました。


 「ずっと一緒にいられるんですか?」


 夜遅くまでという意味で私は尋ねました。




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 「いつもと同じだよ。」


 「じゃあ、ずっと?」


 「そうだよ。うるさい。(笑)」




 私達はどちらも、別れについて口にしませんでした。

 私には彼がもう別れのことなど

 これっぽっちも考えていないことが分かりました。

 そして、彼もまた私が別れを切り出した理由、

 それでも彼への想いを断ち切れなかったこの数日間の私の気持ちを

 全て察しているかのように思えました。

 二人の夏はまだまだこれからです。


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理沙子

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