いつも身近な場所に海があることを忘れている
家の前の坂を100メートルほど上っていくと 団地の外れにたどり着き 見渡す限りの畑と田んぼが広がっている まっすぐに農道を一キロほど進むと 崖っぷちにたどり着き そこから太平洋が見える よく晴れた日は水平線が見える
一昨日の夜、 犬を連れて坂を上っていった すると、普段は耳にしない轟音が聞こえる
海鳴り
曇りがちだけれど暖かい日で風もない 陸地は穏やかだけれども 海は荒れているのだろうか....
坂を下りながら少しずつ遠くなる海鳴りを聞いていた 家の前でも海鳴りは聞こえているけれど 意識しなければわからないだろう
帰宅して母に海鳴りのことを話すと 母は上着をつかんで飛び出していった
去年、母はふるさとを離れてここに来た 海鳴りを聞いてみたいと言っていたので それがようやく叶ったのだ
ゴーーーーーーーッっと切れ目なく続く轟音 地球の音
胸のなかに固まっていた何かに 揺さぶりをかけられたような気がして
日記とはまた別に 何か書いておくスペースを作っておくことに決めた
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