悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年04月17日(木) 4、月/月

10、月

   地平に低く
   さみしげに美しい月が
   懸かっている

   月はそれ自身
   何も語ることはないが
   ひどく寂寥である

   過酷な運命の
   <孤独ときびしさ>のなかで
   愛の原点 信を失った人間に
   月はそれ自体
   一言も語ることなく
   その沈黙と沈静が
   ひどく寂寥である

   月は地平をかすめ
   その光は地上へは届かず
   夜は深く暗い

   月は暗示している
   その寂寥は
   疎外された孤高の
   かなしみである

   しかし月はそれ自身
   何も語ることはない

   月は静寂である
   月は冷徹である


11、月

   しずかなる月は
   静寂の夜
   深いねむりを
   しずかに守っている

   そのやわらかな光は
   地上にやわらかな影を落とし
   長いねむりをしずかに守っている
   無償の愛でやさしく
   しずかに 守っている
   慈愛のやわらかな光で
   ねむりをやわらかく守っている

   月の光はまんべんなく
   地上に降り
   地上のすべてを守っている

   (その深さこそが月である)
   (その深さこそが静寂である)

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