一 古い夢の中で/生きた 長い夢だった
一 人格障害になってから/ 勉学も生活も/手が着かなくなっていた 高校受験では/M中学校のなかでは/ 一番だと聞いた しかし/大学受験では/ そうはいかなかった 模試では/偏差値五五行くのだが/ 三流大学の基礎的問題が/ 解らない 二浪まで/追い込まれて/ 初めて/問題集をやった 一週間/やった F大学で/ 現代国語の二問が/解らなかったが/ 後は/見当がついた
二 そうして/春がやってきた 日曜のデイト/ それがわたしの/カレンダーだった バイトして/旅行にも行った 大阪/京都/奈良/大分/宮崎/阿蘇/ 日帰りで/大宰府/北原白秋の生地・柳川にも/ よく行った 一人は/真面目で/とても正直な子 一人は/自分本位だが/とても女性的な子
三 しかし/三年の終わり/試験中に/ 突然/精神病を発病し/ 幸福な三年間は/終わった 地獄の精神病院が/待っていた N県で/悪名高き病院だ そこで/死ぬほど苦しい/思いを/三度する 一年経って/とても/ 退院は無理だというのを/拒絶して/復学した 講義を除いて/昼も夜も/眠り続けた そして/どうにか/卒業した 一見して/病気だと解る具合だったが/ 第一志望のK社に、幹部候補生として/ 採用された/(自分でもわからない)
四 しかし、三十歳までに/二度入院する M精神病院は/まさに/地獄だ なぜだか/おとなしい/わたしに対して/ 特別な対処だった わたしの夢の中では/まだ/ その痕跡が/生きている
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