かたほうだけのパンプス
敦子



 婦人科要再検査

市の子宮経ガン検診の通知が来た。要再検査で婦人科を受診した。

通知のハガキを受け取ってから一カ月が過ぎようとしていた。

今日の裏数秘術を見ると、「後延ばしにしていたことをやるといい」と書かれていてそれが、病院へ行くよう背中を押してくれた。

婦人科の医師は、診断をざっくり伝える人で言いかえれば歯切れのいいタイプともいえるかもしれない。

二十歳くらいの頃、友達がのぞまぬ妊娠をした。

当時つきあっていた夫に友達のことを話すと「産むか堕すしかない」とざっくり言われた。

確かにそうだ。まだそのときの私たちはそういう大きな決断を下すだけの素養が育ってなかった。

友達の恋は不倫で、イバラの道だった。

しばらく遠くで見つめていた私に伝えられた決断は、

「堕したわ」の事後報告だった。

男は遊びで奥さんと共通の友達を交えての壮絶な四者会談。
友達自らが「堕す」というハメになったことを話してくれた。

二十代に入ってすぐの友達は、身体を傷つけ心に深い痕をつけてそれを終わらせた。

スタンディングのハンバーガーショップで彼女は、私に向かっていながらも私ではない方にむけて

「でも、私、こんなに人を好きになったことはなかった」と言った。


医師は、去年も言ったけど変わりなく、そういうことだから。今度は市の検診ではなくうちで受けなさい。

診察室を出て受付で診察券を受け取るときにキレイな事務のおネイさんに個別検診のことを聞いた。

婦人科は乳ガン検診はここでは出来ないと言われた。

もしかしたら来年もまた同じようにこのかたちになるかもしれないと思った。


2013年11月20日(水)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加