2005年06月23日(木)...密やかな狂気

 だだっ広い食堂の片隅でぼんやりとひとの群れを眺めていた。11時を少し回ったばかりで、まだ犇めく程にはならない。テーブルに突っ伏して耳をぎゅ、と押し付けていると夏のプールの匂いがした。陽射しが面倒で、眼の前を動く健康的な太股に揺らいだ視線を投げ掛けていた様な、開放感という閉塞にゆらゆらと沈んでゆく。
 何時かの明け方去り際に握らされたビニールを、ふっ、と思い出して鞄から引き摺り出す。あと2時間、丁度よい空白に空腹の感情。舌の上に転がした濁色を硬水で飲み干す。訪れるのは引き伸ばされた世界と、拡張された声。


[ 14:25 ]
 別館のトイレの鏡台に座って、華やいだ空気をただやり過ごしていた。廊下を歩く足音と、誰かが云った、全てぶち壊したい。

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